本章では前章からの続きである「長所、短所について」をお話します。

■「軸」との違いについて

ここまでは軸を探すときの作業に似ています。軸を導き出す方法は、ここから自分の大事にしている部分を言語化し、「なりたい自分」を導き出します。しかし、「長所、短所を見つめなおす上で大事な事」と「軸を導き出す事」との大きな違いは、「そこから客観視し、もう一歩ブレイクダウンすること」です。

「なりたい自分」というのは、自分の「意志」が大きいです。「自分はどうしたいか?何故そう思うのか?」という自分発信の気持ちです。しかし、長所、短所は、それとは逆で「客観的にどう見えているか?」という面を見つめなおす必要があります。つまり、自分視点ではなく、他人視点という事です。

■共通点を客観視すること①

例を挙げます。分かり易くお伝えするため、前章と同じ例にします。

高校、大学とずっとサッカーをしていた人がいるとします。その時の成功体験と失敗体験が以下だったとします。尚、ここでは成功体験を一番嬉しかった体験、失敗体験を一番悔しかった体験としています。

・高校の時に全国大会出場を果たしたことが一番嬉しかった。試合には出られなかったが、「試合に出るためにはどうする?」を常に考え、準レギュラーのポジションで練習のダミーチームなどで相手校の偵察をしっかりしたので、それが勝利につながった。

・大学の時の最後の試合で負けてしまった時に一番悔しかった。ベンチ入りメンバーに選ばれていたが、怪我でチームを離れてしまい、入院を余儀なくされたのでチームに何の貢献も出来ずに負けてしまった。

前章でお話しをした通り、ここで見えてくる感情としては「犠牲心」や「他人への影響力」の部分です。もし、軸を作るとしたら(この2つのエピソード以外に複数のエピソードがある前提ですが)「なりたい自分は『他人に影響を与えられる自分』であり、自分発信で周囲の人に大きな影響を与えられる人になりたい。」のような軸になり、後は自分が与えたい「範囲」や「モノ(どんな商品を通じてか)」などをブレイクダウンして、業種や会社を絞っていきます。

では、短所と長所はどうするか?単純に、「長所は自己犠牲がある事です。例えば高校の時に○○(上記のエピソードを具体的に話す)」でも悪くはないです。ただ、「それを周りはどう思っていたか?」まで踏み込んでみましょう。

■共通点を客観視する事②

例えば「犠牲心」の具体的なエピソードで「偵察ビデオを毎日3時間見た」「相手選手になりきるために、癖を完全にコピーした」などがあったとします。それは「客観的にみてどうだったか?」を深堀しましょう。

客観的に見てそれは「自分のスキル向上」が主の目的ではなかったですか?「レギュラーを奪取するため」が主の目的ではなかったですか?そうなると「犠牲心」以外にも「勝つためのプロセスを深く思考する事」が長所かもしれません。勿論「犠牲心」という要素もあるのでしょう。それを「軸」にするのは問題ないです。何故なら「軸」とは「なりたい自分」という理想だからです。しかし長所、短所は理想ではなく「現実」です

つまり、客観視することとは「自分に正直になる事」「理想ではなく、現実を見る事」です。理想的な言葉だけでなく、客観的に見て自分の姿はどう映るのか。「レギュラーを取るために偵察をしている」という要素があり、自分でも思いあたる節があるとすると、それこそが長所です。「犠牲心」ではなく、「勝つため、レギュラーになるためのプロセスを考える。本質を考える力がある」事が長所になるのです

■まとめ

今回は軸の話と重なっている部分が多いです。冒頭でも少し触れましたが、何故この話をわざわざピックアップしたかというと、「長所、短所を探す」という事は「軸を探す」という過程とは違うアプローチだからです。

「志望動機」や「5年後どうなっていたいか」などの職歴書、面接での定番質問については軸を紐解けば答えられる質問です。しかし、長所と短所だけは、そこから更に客観視をしないと「自分視点」の長所、短所になってしまい、「内省出来ていない」と思われてしまいます。

ですので、今回わざわざ長所、短所だけをピックアップしてお話をしました。軸と合わせて思考することにより、ほぼ全ての質問を網羅する考え方になったと思います。